月かげ第214号

神は示し申す 佛は人にあらず すっかりよい時候となりました。 しばらく快適な日々が続きます。 私自身、ここ二年ほどで、急激に老いを感じておりますが、老いは必ずしも、悪いことばかりではありません。神仏への思慕(しぼ)の念が深くなってきたからです。 …

月かげ第213号

わたしたち一人ひとりが、自分の玄関の前を掃除するだけで、全世界は綺麗になるでしょう マザー・テレサ 鈴虫(すずむし)が鳴き始めました。もうすぐお彼岸です。私がこの歳になって、一番感じさせられることは、掃除の大切さです。明治生まれの祖母二人がと…

月かげ第212号

一隅(いちぐう)を照(て)らす 伝教(でんぎょう)大師(だいし) お盆の季節となりました。 テレビでは毎日、東京オリンピックが放送され、選手の皆さんの活躍に勇気づけられる日々です。 一方、コロナ禍は、一向に終息する気配がありません。 先日、京都西山短大…

月かげ第211号

露の身は ここかしこにて きえぬとも 心はおなじ 花のうてなぞ 法然上人 七月となりました。 七月七日は総本山光明寺に於いて、第八十七世の御前さまの晋山式です。前日、堀本猊下が退山され、新しく、中西随功猊下の誕生です。 中西随功師は下津・白翁寺の…

月かげ第210号

感応道交(かんのうどうこう) ( 衆生が仏を感じようとすれば仏は すぐにそれに応じ、衆生と仏の心が通じて、通 い合うこと) 新緑の美しい季節となりました。 梅雨時期の晴れ間は貴重な洗濯日和(びより)です。そしてお墓参りの人たちでにぎわいます。 高校時…

月かげ第209号

今の人は 自然に合わせるのが 下手やねん (桜守 十六代佐野藤右衛門) 新緑が美しい季節となりました。 当山では、例年六月の第二土曜日は仏教講演会を開催(かいさい)していますが、今年はコロナ禍で中止と致します。去年の十一月に五重相伝を開催して、今…

月かげ第208号

観音の 大悲の桜 咲きにけり 正岡子規 桜が美しく咲き始めました。 去る三月二十三日、阿彌陀寺観音堂修復竣工(しゅんこう)記念旧初午(きゅうはつうま)観音会式を無事勤めることができました。 私が、平成十四年に阿彌陀寺に晋山しまして、ちょうど二十年目…

月かげ第207号

念(ねん)彼(ぴい)観音力(かんのんりき) 灯りをつけましょ ぼんぼりに~♪ お花をあげましょ 桃のはな~♬ 桃の花が咲く季節となりました。 いよいよ、三月二十三日(火)、年に一度の聖(しょう)観世音(かんぜおん)菩薩(ぼさつ)さまの御開帳(ごかいちょう)です…

月かげ第206号

オンコロコロ センダリマトウギソワカ お薬師さま真言 まもなく、節分、そして立春です。 今年のお講(御忌)は午前中だけでした。十時開始で、最初に法然上人さま第八百十回御忌のお勤め、そして、新亡の御回向をして、檀信徒の総回向、その後、住職が一席…

月かげ第205号

学佛(がくぶつ)大悲(だいひ)心(しん) 「帰三宝偈(きさんぼうのげ)」より 新年おめでとうございます。 年頭にあたり、本年が皆さまにとりまして、よき一年となりますことを、心より祈念致します。 昨年は、コロナ禍によって、一般に明るい一年とは言い難かっ…

月かげ第204号

法(ほう)の楽しみは すべての楽しみにまさる 法句(ほっく)経(きょう) 冬が近づいて参りました。 去る十一月二十日(金)から二十四日(火)まで阿彌陀寺におきまして十五年八ヶ月ぶりの五重相伝を厳修致しました。 十一月二十四日、快晴に恵まれて、受者四十…

月かげ第203号

念ずれば花ひらく 坂村真民 去る九月三十日、無事、ご本山における八年間の内局の任期を満了し、阿彌陀寺に帰って参りました。 現在は、週に二回、ご本山に隣接する京都西山(せいざん)短期大学に、京都西山(せいざん)学園(がくえん)の理事長として出勤してい…

月かげ第202号

彼(か)の岸(きし)に渡(わた)る 仏陀の教え 暑い夏が終わり、みかんが色づく秋となりました。 いよいよ、五重相伝です、何年も前から計画して、東京オリンピックの年に、と考えていましたが、今年のオリンピックは中止となり、思わぬコロナ禍で、世の中が一(…

月かげ第201号

泥中(でいちゅう)不染(ふぜん) 蓮の徳 (泥の中にあって汚(けが)れることがない) 九月となりました。 お盆も無事に終わり、早、お彼岸です。 お盆に、ある檀家さんが久しぶりにお見えになりました。大病を患(わずら)われていたので、どうしているのか気にな…

月かげ第200号

雨降って 地固まる 雨が降り続いて、日本各地、大変な被害となりました。お見舞い申し上げます。 ここ下津浦も連日の雨で阿弥陀寺の本堂の戸は一週間ほど開けずに過ごしました。雨戸を閉めて真っ暗な本堂は、それでも天井が高いので、空気がひんやりしていま…

月かげ第199号

皆さん信仰(しんこう)持ちなされ 信仰なしには生きられぬ 心に深く弥陀仏(みだぶつ)の 慈悲(じひ)のひかりを持ちなされ 関本諦承(せきもとたいじょう)上人 七月になりました。 作家、村上春樹さんが『猫を棄てる』という本を出版されました。村上春樹さんの…

月かげ第198号

生きて身を はちすのうえに宿さずば 念仏申す 甲斐やなからん 西山上人 すっかり新緑となりました。 またまた、タイムカプセル発見です。 三月初旬に、京都松本明慶工房さまに修復をお願いした聖観音(しょうかんのん)さまの台座から、古文書が見つかりました…

月かげ第197号

念ずれば 花ひらく 坂村真民 新緑の候、皆さま、いかがお過ごしですか。只今、新型コロナウイルスのため全国緊急事態宣言の真っ最中です。いつまで続くのか心配です。 皆さまは「はらもみさん」という職業をご存知ですか。つまり、おなかを揉(も)むマッサー…

月かげ第196号

自(じ)灯明(とうみょう) 法(ほう)灯明(とうみょう) 仏陀(ぶっだ) 桜の季節となりました。 この季節、例年ならば、大相撲春場所、選抜高校野球に始まり、入試も終わり、卒業、入学と桜の開花と共に、明るいニュースが全国を駆け巡る時ですが、今年は違います…

月かげ第195号

いくたびも 参る心は 初瀬寺(はつせでら) 山もちかひも 深き谷川 第八番 豊山 長谷寺 観音堂の修復工事が終わり、あとは観音さまの修復を待つだけとなりました。三十三体の観音さまの事を少しずつ調べているうちに、興味深いお話を知りました。西国三十三番…

月かげ第194号

夫子(ふうし)の道は 忠恕(ちゅうじょ)のみ 孔子『論語』里仁第四 そろそろ梅の開花が始まったそうです。今年も無事に法然上人のご法事、第八百九回御忌会(お講)が厳修されました。 そして、観音堂修復工事も、もうすぐ足場(あしば)が撤去(てっきょ)されま…

月かげ第193号

海(うみ)凪(な)ぎて 大漁旗(たいりょうばた)や 明(あけ)の春(はる) 月空随峰 明けましておめでとうございます。 皆さま、お健やかに新年をお迎えのことと存じます。 さて、本年は、阿彌陀寺にとりまして大きな二つの節目を迎えます。 一つは、春に迎える観音…

月かげ第192号

粗末にするな 心と 身体 カレンダーより 今年も残すところ後一ヶ月となりました。 桜の葉も真っ赤に色づいて、落ちていきます。そして、色とりどりの葉を毎日のように履いて、木に葉が一枚も無くなったら、十二月中旬・・・。毎年毎年、どんなに温暖化が進も…

月かげ第191号

のちの世のたよりを ここにもとめけり 南無阿彌陀寺の 庭にまいりて 不動山阿彌陀寺御詠歌 かごめ~♪かごめ~♪かごの中の鳥は~いついつであう~♪ 最近はあまり聞かなくなった「かごめ歌」懐かしいです。以前、大佛師・松本明慶先生の工房を訪ねさせて頂いた…

月かげ第190号

あせたるを ひとはよしとふ びんばくわの ほとけのくちは もゆべきものを 会津八一 人生は、あっという間だと言われます。 私自身、気づいてみれば、早、還暦(かんれき)を過ぎています。 自分自身の人生を振り返ってみますと、様々な場面がありましたが、や…

月かげ第189号

ただ一向に念仏すべし 法然上人 私の得度の師、総本山光明寺第七十七世法主・須佐長空上人は、八十八歳の折、「観経に聞く会」というお経の勉強会の席で、「われわれは皆お浄土から生まれてきた。故郷恋しく、生まれたふるさとへ帰りたい」とおっしゃられま…

月かげ第188号

お盆には 先祖よろこぶ お墓におまいり 詠み人知らず お盆です。 先日、NHKのプロフェッショナルという番組を見ました。父親が中国(ちゅうごく)残留(ざんりゅう)孤児(こじ)の日本人で、母親が中国人という新津春子さんという方が取り上げられていました。…

月かげ第187号

いっしょうけんめいの人に 仏さんが見える 大佛師・松本明慶師 いよいよ夏が近づき、あと一ヶ月でお盆となります。 天才と云われる日本一の大佛師、松本明慶先生が、随峰さんに、「一日は二十四時間、八時間仕事して、八時間寝て、八時間自分の好きなことを…

月かげ第186号

いちばんたいせつなことは 目に見えない 『星の王子さま』 サン・テグジュペリ 紫陽花(あじさい)の綺麗な季節となりました。 先日、高野山にお参りしました。お店の前にコンペイトウという紫陽花が鉢に植えられていました。毎年、庭中紫陽花を咲かせているお…

月かげ第185号

令和(れいわ)元年(がんねん) 令(れい)月(げつ)にして 風(かぜ)和(やわ)らぐ (よき月が出て 風は和らかに 渡ってゆく) 令和元年となりました。 よい響きの美しい名の元号だと思います。元号の如く、穏やかな日々が続くことを願います。 さて、去る四月二十…