月かげ第118号

たったひとりしかない自分を

たった一度しかない一生を

ほんとうに生かさなかったら

人間、生まれてきたかいが

ないじゃないか

 

   山本有三路傍の石』より

 

過ごしやすい季節となりました。

昨年十月一日よりご本山に勤めるようになって、一年が過ぎました。あっという間の一年でしたが、振り返ってみれば長かったような気もします。一年間、大きなトラブルもなくつつがなく過ごさせて頂けたことに、心より感謝しております。

二年目を迎えるにあたり思いますのは、やはり、み教えの弘通(ぐづう)ということです。

善導大師の『日中(にっちゅう)礼讃(らいさん)』「三尊(さんぞん)(らい)」に、「本願最為強(ほんがんさいいごう)」とあります。「本願最も強しと()す」。この世界には、弥陀のご本願より強いものは何もないのです。

わが宗の近代の第一人者、関本諦承(せきもとたいじょう)上人は、弥陀による私たちの救済を、「慈悲(じひ)正因(しょういん)」と示されました。弥陀のお慈悲によって救われるという意味です。弥陀のお慈悲の源はご本願です。十劫(じっこう)(永遠)の昔、ご本願が成就されたとき、同時に、私の救済もまた成就されました。救済とは幸福という意味です。

極楽浄土のサンスクリット語のスカーヴァティーは、「(さち)あるところ」と直訳されます。

私がたどり着いた人生の目的・・・。

弥陀のご本願によって、私自身が救済され、幸福となる。だから私はお念仏を唱え、ご本願を伝える・・・。

七年後、二〇二〇年三月、当山では五重相伝会を勤めます。その年の夏、東京で再びオリンピックが開催されます。二〇二〇年に向けて、五重相伝会の準備を少しずつ進めて参りたいと思いますので、皆さま方には結縁されることをお勧め致します。

  南無阿弥陀仏     合掌