月かげ121号

 

 

念仏(ねんぶつ)一行(いちぎょう)

 

 

 

 

『選択本願念仏集』より

 

 新年おめでとうございます。

 今年が穏やかな一年となりますよう、念じます。

さて、「念仏一行」とは、阿弥陀仏からの私たちへのはたらきかけを表わすことばです。つまり、阿弥陀仏が、ご本願によって私たち一人ひとりを救済し、幸福へと導く深い願いの表われをいいます。阿弥陀仏への衆生の側からの行為が称名(しょうみょう)であり、(おく)(ねん)(心に弥陀を(おも)うこと)です。すなわち、私たちにとって最も大切なことは、阿弥陀仏を忘れず、ご本願を忘れないということです。

年末には多くの方々がお墓参りをされました。私たちの思いのうちには、阿弥陀仏とご先祖さまが無意識(むいしき)(こん)(ぜん)一体(いったい)となっているように思われます。それは、ごく自然なことであると思いますお浄土に、ご往生されたご先祖さがおられることを思えば、不思議なことではありません。

 亡くなられたお父ちゃんやお母ちゃん、また、お兄ちゃんらがいつも護ってくれているという思いは、阿弥陀さまと一体となられたご先祖さまからの願いが自然と受け止められているということではないでしょうか。

我が宗では、生きている今も弥陀の(ふところ)()く先は極楽浄土、阿弥陀さまと二人連れの人生、ご安心(あんじん)を頂いて()(ぎょう)に生きるを(むね)とします。起行とは、お念仏をよろこぶこと、また、分に応じて自分の使命を果たすことです。

今年もお念仏をよろこび、ご先祖さまを大切にして、ささやかながら、幸福な世界の実現を目指して参りましょう。

    南無阿弥陀仏     合掌