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月かげ130号

あみだ仏(ぶ)

そむる心の色にいでば

秋のこずゑ(え)のたぐひ(い)ならまし  

 

 

        法然上人(しょうにん)

 

秋が少しずつ深まって参りました。

本山のもみじも少しずつ色づいてまいりましたが、例年になく、なら枯(が)れもあり、異常気象の影響が本山にも及んでいます。

さて、世界に目を向けてみますと、未だ各地で紛争が繰り広げられ、宗教的対立を中心として、自国の我欲のため、罪のない多くの人々が巻き添えとなり、命が奪われています。日本はかろうじて平和が保たれていますが、安閑(あんかん)としていて、大丈夫なのかと危機感が募(つの)ります。

さて、冷静に眺めますと、国家間の対立から、身近な人間関係の対立まで、全ての対立は、自我の対立に行き着きます。

我執(がしゅう)を超えるのは宗教であり、また、我執ゆえに宗教的対立は根深いという矛盾があります。そして、全ての宗教が目指す平安な境界(きょうがい)は、実にこの自我の彼方(かなた)にあるものです。

禅に「両忘(りょうぼう)」という言葉がありますが、是と非、善と悪、苦と楽、美と醜、愛と憎など、全ての二元的対立を忘れ去ったところに開かれる世界こそ、みほとけの世界、お浄土であります。

異常気象による木のなら枯れも、様々な災害も、全て自然の摂理によってもたらされるものです。

それら自然災害に対しては、対策を怠らず、人間同士、あらゆる対立を超えて、平和に暮らすことが出来れば・・・。

「地上に毛皮を敷(し)き詰めることは不可能だが、一足の靴を履(は)けば、世界を安全に歩くことが出来る・・・」との仏教のみ教えがありますが、その一足の靴こそが、私にとりましてはお念仏のみ教えです。

念仏で全ての二元対立を超えて、安らかに楽しく謙虚に暮らして参りたいものです。

南無阿弥陀仏 

 合掌