月かげ137号

根ほど葉広がる

         (ことわざより)

 

青葉の美しい季節となりました。

五月の連休は例年、下津上組の施餓鬼会が厳修されます。午後の法要なので、午前中に法事をして、出かけます。四日は、代務住職をしている梅田・地蔵寺の施餓鬼会です。

地蔵寺はわずか檀家十四軒の寺ですが、一ヶ寺として運営されています。寺のご本尊は地蔵菩薩で、前立(まえだち)本尊は阿弥陀如来です。

地蔵菩薩は、大地のほとけで、大地が全てを受け止めるように私たちを温かく護って下さるみほとけです。六地蔵といわれるように、上は天界から下は地獄まで六道を、私たちに寄り添って救って下さいます。

地蔵寺の正式な名称は、子安山(しあんざん)地蔵寺です。室町時代後期、応仁の乱により諸国が乱れる中、紀州下津(加茂郷)も例外ではなく、戦乱に巻き込まれ、あるいは飢餓により、多くの子供たちが亡くなったということです。この時にあたり、法入(ほうにゅう)大徳(だいとく)が、(亡くなった幼子たちのみた(・・)ま(・)を救いたい)という一心で、地蔵菩薩立像を本尊として、本堂を建立されたことが地蔵寺の開創であると伝えられています。

さて、当山にも、本堂に一体のお地蔵さま、地蔵堂にきしねのお地蔵さま、境内に二体のお地蔵さま、墓地に、八体のお地蔵さま、境外に、峠のお地蔵さま方、脇之浜のお地蔵さま、有縁のお地蔵さまとして四十八所神社のお地蔵さま方等、実に多くのお地蔵さま方がお祀りされ、私たちを護って下さっています。

大地は一切を浄化し、一切を育んでいます。大地に感謝を捧げ、今年も豊年万作を念じたいと思います。南無阿弥陀仏 合掌