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月かげ146号

 

梅(うめ)一輪(いちりん) 一輪ほどの暖かさ

    

                  服部(はっとり)嵐(らん)雪(せつ)

 

 

寒い日が続きます。

さて、私は、ここ一年ほど、趣味で俳句を詠(よ)むようになりました。毎月、本山の「ひかり」紙に投句し、掲載して頂いています。 

俳句には、季語のほかにも細かい決まりごとがいくつかあって、その上で、情景を、切(き)れと、リズムで詠むのがよいと教えて頂きました。なかなか難しいですが、この年齢になって、ようやく趣味らしい趣味を持ててよかったと思っています。

俳句は、目の前の刹那(せつな)の光景を詠むということですが、それは、写真家が一瞬の真実を写真に写し取るのに似ていると思います。一瞬の中に永遠を観(み)ることに、新鮮さを感じます。

二月は梅花の季節、梅といえば、みなべですが、二十九年前の二月、亡き父と訪れたみなべの里は満開の梅でした。父が、「ここはおとぎ話の世界のようだ」と、風景に酔うたように申しておりましたが、年月の過ぎるのは早いもので、その父も、随暢師匠も、お浄土の人となり、私自身も還暦近くなって参りました。あの日、父と訪れたみなべの風景は、幻(まぼろし)ではなく、確かに現実の風景でありました。宗教的にいえば、一瞬と永遠とは相通(あいつう)ずるものです。

わが宗のみ教えは、安心(あんじん)の上の起(き)行(ぎょう)です。阿弥陀仏に救われた私は、自ら念仏を唱え、ひとに念仏を伝え、そして、自らの使命を果たしてゆくばかりです。

毎年、梅の花の季節になると、梅の花に包まれてよろこんでいた父の姿と、随暢師匠の初めての出遇いの情景がよみがえり、懐かしさがこみあげて参ります。

南無阿弥陀仏  合掌