月かげ第157号

正月の子供に成(なり)て見(み)たき哉(かな)

 

 

           小林一茶

 

 

 明けましておめでとうございます。

年頭にあたり、本年の皆みなさまのご健勝をお念じ申し上げます。

さて、年齢を重ねるごとに、新年を迎える心持ちも少しずつ変わって参りました。子供の頃は、厳かな気持ちをもちつつも、ただ嬉しく新年を迎えていたように思います。今は、世界と我が身の平安な日常が末永く続くようにという思いが強いように感じます。

昨年は、十月一日に宗務総長に就任し、また、年末には狭心症で入院するという変化の多い一年でした。

健康面も、いよいよ真剣に取り組まねばならない時期が来たことを痛感しています。

ご本山では、十二月十四日に、堀本御前さまの晋山式を厳修致しました。私は、四年間の任期を堀本御前さまにお仕(つか)えして、本願念仏の弘(ぐ)通(づう)、そして、浄土門根元地たるご本山と西山浄土宗の弥栄(いやさか)に寄与したいと考えています。

また、平成三十二年に当山の五重相伝を控え、少しずつ準備を進めて参ります。

昨年末の御前さまの晋山式、そして、自らの狭心症による入院を通じて感じたことは、弥陀の御加護の一言に尽きます。

晋山式の前日、十三日より当日十四日の午前三時までは、強い雨が降っていました。十四日の朝には雨は上がって青空となっておりましたが、まだ黒い雲がかかっていました。午前十時、開門式を終えた御前さまの行列が表参道の女人坂を上がって行く途中、ふと空を見上げますと、黒い雲が左右に分かれ、御本廟の上まで深く澄んだ青空が広がっておりました。このとき私は、仏天(ぶってん)の御加護ということを深く肝に銘じました。

また、十二月二十一日から二十三日にかけて、狭心症長岡京市済生会京都府病院に入院しましたが、このときには、いよいよ更に身を慎むべき時節が巡って来たことを強く感じました。

全ては弥陀のおはからい、御加護であることが身に染みます。

本年も皆さまと共に、お念仏をよろこんで参りたいと思います。

南無阿弥陀仏     合掌