月かげ162号

形見とて何か残さむ春は花

山ほととぎす秋はもみぢ葉

 

                 良寛和尚

 

 

 

梅雨が近づいて参りました。

さて、去る五月二十日の土曜日、総本山光明寺東京別院の第二十四回念仏のつどいに参加させて頂きました。その時の講演で松本明慶大佛師より伺ったお話の中で、印象に残っているお話を少しご紹介したいと思います。

タイトルは『仏心大器』でした。

一つ目のお話は、仕事に対して心が澄んでいるかどうかが大切である、心技体が無色透明でなければいけない、ということです。

そして、もう一つのお話は、先祖の最終ランナーが私であるということです。先祖の最終ランナーである私が、墓じまいをしたり、仏壇祀(まつ)りをやめるとき、先祖との絆が断ち切られてしまうということです。先祖は私を見ている、そして、護って下さっている。その先祖との絆を自ら断ち切るということは、自分のいのちの根源との断絶を意味する、ということでした。

先祖への供養を捨て、自らご先祖さまからの御加護を切り捨ててしまうとき、幸福な人生を全うできるとも思われません。

お釈迦さまのお示しの如く、全ては因縁果の法則の中にあります。

透明な心で仕事をし、ひとに接し、さらにご先祖さまの最終ランナーである私を自覚して、みほとけとご先祖さまに感謝の真(まこと)を捧げるとき、明るい人生が開かれてゆくのだと思われます。

今年の七月二十八日、本山の暁天講座で、明慶先生がお話されます。御聴聞をお勧め致します。

          南無阿弥陀仏  合掌