月かげ第173号

子供ら仲よく遊んでいる墓の中

  

                   種田山頭火

 

 

鯉のぼりが眩しい季節です。

「新潟の母方の三十三回忌に、いとこが集まるから、せんなんこと、いっぱいあるけど、無理して行って来る、『月かげ』はお前が書いといて」そう言いながら、今さっき随峰さんが出発しました。

母方の本家は魚沼市の広々とした平野の中にあり、美味しいお米のコシヒカリの産地です。八(はっ)海山(かいさん)が真(ま)ん前に見える、それはそれは綺麗なところです。

先日、本家の長男から、祖父母の三十三回忌をします。いとこ全員に声をかけました、皆が気を使わないようにと会費五千円だけ集めます、服装は黒でなくていい、そんな手紙が送られて来ました。子供の頃、一緒に遊んだいとこは、全国に散らばって、みんな集まるのはなかなか難しいことですが、可愛がってもらった小さかった頃を懐かしみ、じいちゃん、ばあちゃんを思いだして法事を勤めましょうと・・・・。

今回行かないと、次は五十回忌、もう会えないかもしれないから、と出かけて行きました。

大切な故郷のご先祖さまが眠る地を誰しも忘れることはありません。

遠くてお墓に参れないとか、時々聞きますが、新潟のお墓は一年の三分の一は雪の下で、和歌山のように毎日参れるような環境ではありません。どんなに遠くても、どんな環境でも、どこにいても、手を合わせて、お参りはできます。南無阿弥陀仏を唱えるだけでご先祖さまに通じる、どんな時も護ってくれている・・・。

法事やお墓参りは義務や強制ではありませんが、一人ひとりが今、生かされている自分のルーツに感謝して、天寿を全うするまで勇気を頂けるのだと思います。

阿弥陀さまご先祖さまに感謝し、共々にお念仏を喜んで参りましょう。

     南無阿弥陀仏   合掌