月かげ第178号

鳥は

飛ばねばならぬ

人は

生きねばならぬ

 

            坂村真(しん)民(みん)

 

今年は、六月の大阪北部地震に始まり、台風二十一号、二十四号と災害の多い一年でした。しかし、それでもかろうじて最小限とも思える被害で十月を迎えることができましたのは、お念仏の功徳の一つである、念仏者は如来の御加護に与(あずか)るということであったと思います。

大難が小難になる、ということです。

台風二十一号の折、当山では、永代合祀墓前のお地蔵さまと六地蔵さま横の古いお地蔵さまが倒れました。しかし、お寺そのものは玄関上の白壁が少し剥がれただけで、最小限の被害で済みました。

その後、お倒れになられた二体のお地蔵さまは、現在、元どおりにお祀りさせて頂いております。どなたからともなく、私たちの受けるべき災害の身代わりとなって頂いたという声をお聞きします。

本山でも同じく、大木が数十本倒れましたが、不思議と建物への被害は、瓦(かわら)の破損のみでした。多くの木々が身代わりとなって護(まも)ってくれたのだなぁと、一同、感心した次第です。

このように受け止めるにつけ、念仏者は幸福であると思います。

法然上人以来、念仏者は大難が小難になるということを、身をもって実感し、豊かな心で日々を生き抜く復元力を与えて頂いているからです。

今年も残すところ三ヶ月となりましたが、よき一年となりますよう、お念仏をよろこんで参りましょう。

               南無阿弥陀仏  合掌