月かげ第191号

のちの世のたよりを

    ここにもとめけり

 南無阿彌陀寺の

     庭にまいりて

                     不動山阿彌陀寺御詠歌

 

 

かごめ~♪かごめ~♪かごの中の鳥は~いついつであう~♪

最近はあまり聞かなくなった「かごめ歌」懐かしいです。以前、大佛師・松本明慶先生の工房を訪ねさせて頂いた折に、先生の作品で、手をつないだ童(わらべ)たちの真ん中に一人の童(わらべ)が目を手で押さえ座っているそんな作品を拝見しました。

先生は、「かごめ歌は、うしろの正面(しょうめん)だぁれ~♪の歌で、うしろの正面が誰か当てる遊びですので、皆の名前を知らないと答えられない。幼馴染(おさななじみ)同志(どうし)は簡単に出来る楽しい遊びですが、よそから来た子供は名前を知らないから大変です」とおっしゃって、先生のその作品を見せて下さいました。そして、その目をふさいだ童(わらべ)のうしろには、観音さまが立っていらっしゃいました。

私もこの土地に来て、もう十七年が過ぎますので、ようやく檀家さんの顔と名前がわかるようになりました。お嫁に来たり、転勤になったり、せっかく友だちになっても別れなければならないことは多くあります。それどころか、急に旦那(だんな)さまや奥さまが亡くなったり、今までそばにいた人がいなくなった時など、孤独を感じている方は多くいらっしゃると思います。そんな時、先生の作品を思い出します。小さい子供の後ろには大きな観音さまがいてくれるのです。これほど心強いことはありません。

今、阿弥陀寺では観音堂を修復中です。古い行灯(あんどん)や、瓦(かわら)や、ランプ・・・。色々な物が出てきます。長い歴史をへて、大事に護(まも)られてきた観音信仰は、その時々の人々を温かく見(み)護(まも)って来てくれたと感じます。「昔は子供が病気しても、病院に行かず、拝みに来て助けてもろたんやで」というおばあさんの話を聞いたことがあります。どんな時も常に後ろにいて下さる観音さま。そして私たちを護(まも)ってくれています。観音ばたらき。その言葉どおり、観音さまが自ら観音堂をなおしてくれている。そうとしか思えないほど、素晴らしい修復工事が進んでいます。

どんなことがあっても、楽しく、明るく、笑いながら生きてゆきたいと思います。観音さまに手をつながれた子供たちは皆、観音さまに救われた子供たちなのですから・・。

                 南無阿弥陀仏  合掌  ⓢ