月かげ第197号

念ずれば

   花ひらく

                坂村真民

 

 

新緑の候、皆さま、いかがお過ごしですか。只今、新型コロナウイルスのため全国緊急事態宣言の真っ最中です。いつまで続くのか心配です。

 皆さまは「はらもみさん」という職業をご存知ですか。つまり、おなかを揉(も)むマッサージ師さんです。実家のある南部川の上の高木(たかぎ)という村にありました。七十歳過ぎの仙人のような先生でとても優しく、子供連れの方や癌(がん)を患(わずら)っている方や、腰痛やありとあらゆる病気の方が訪れていました。私も実家に帰った時に時々子供を連れて行きました。 

畳の部屋にお布団を一枚ひいただけで、その上に仰向けに寝て、ただ温かい手で優しく二十分ほどおなかを揉(も)んでもらうだけです。とても気持ちよく、固くなったおなかを柔らかくしてくれるのです。先生の手には、パワーというか、気のようなものがあったのでしょう。癌(がん)を発見したり、治したり、大勢の患者さんが訪れていました。

先生がおっしゃるには、「自分でも揉(も)んだらいいんや。ドキドキするところは悪いから、そこを押さえて揉(も)んでいたら、治(なお)ってくるよ。お水のたまったとこもあるやろ、ここ。これは流すのや・・・」そんな風に教えてくれました。

毎朝、布団の中で五分でも、揉んでみてください。とっても気持ちいいですよ。そして、コロナでストレスが溜(た)まっているお子さまにやってみてあげてください。静かになって眠くなって寝てしまいます。こんな時こそ、ゆっくりお風呂に入ったり、掃除したり、身体を元気にして、普段できないことをやってみてください。私は、おなかを揉みながら、般若心経(はんにゃしんぎょう)を唱(とな)えます。時には延命(えんめい)十句(じっく)観音経(かんのんぎょう)をあげます。

母が子供の頃、風邪をひいた時などにそうしてくれました。肩やひざを揉むのもいいと思います。


  南無阿弥陀仏     合掌 ⓢ