西行の 桜になりし 月夜かな 正岡子規 今年の旧初午(きゅうはつうま)観音(かんのん)会式(えしき)(三月十九日)は天候に恵まれ、穏やかにお勤めすることができました。暖冬で桜も早く咲くと言われていましたが、ご本山で加行が始まる二十四日頃には、また寒…
補陀落(ふだらく)や 霧(きり)晴れ渡り 那智(なち)の滝(たき) 月空國孫(がっくうくにみま) 去る二月六日、かねてより念願であった新宮の神倉(かみくら)神社(じんじゃ)の御(お)燈(とう)祭(まつり)に参拝しました。 家内と家内の姉と三人で、四年ぶりに行われる…
世間(せけん)虚仮(こけ) 唯仏(ゆいぶつ)是(ぜ)真(しん) 聖徳太子 二月になりました。 今年は元旦から能登半島地震があり、大変な幕開けとなりましたが、節分、立春を境に明るい一年となることを念じます。 去る一月二十一日(日)、第八一三回御忌会(お講)…
念ずれば花ひらく 坂村真民 新年おめでとうございます。 令和六年になりました。今年は辰年です。辰は龍のことでもあり、十二支の中で唯一の空想上の生きものです。お寺の欄間(らんま)や天井などにも描かれ、仏教の守護神でもあります。 縁起の良い干支でさ…
生きて身を 蓮(はちす)の上に宿さずば 念仏申す 甲斐(かい)やなからん 西山上人 師走となりました。 今年はどんなことがあったか振り返りますと・・・。ロシアとウクライナの戦争、イスラエルとパレスチナの戦争・・・・。大変な年でした。 十月の末に、ひと…
御身(カラダ)と精神(ココロ)を 大切にして 充分人生を 愉(たの)しみなはれ 美山荘 中東吉次 (『美味しんぼ』より) 今年も残すところ二ヶ月となりました。 つい先日、うちの方丈(ほうじょう)にある若い男性が「方丈さんは食事とか作ったりするんですか」「…
名月や 池をめぐりて 夜もすがら 松尾芭蕉 お彼岸が終わり少しずつ涼しくなって参りました。 さて、十月は神無月(かんなづき)といわれます。(本来は旧暦なので十一月頃です)日本全国の神々が島根県の出雲大社に集まって各地の神々が不在となるという説や、…
二人で歩む 遠い道も くたびれない サトウハチロー まもなく秋です。 私の六十四歳の夏が終わろうとしています。井上陽水の歌に『人生が二度あれば』という曲があります。高校生の頃、よく聴いていました。 この曲の歌詞の中に「父は今年二月で六十五 顔のシ…
華果同時 泥中不染 一茎一華 蓮糸織布 蓮根食用 不着水滴 蓮果薬用 蓮台乗仏 (蓮(はす)の八(はっ)徳(とく)) 八月です。お盆の季節です。 例年八月九日は当山の大施餓鬼会です。 午前九時から本施餓鬼・初盆施餓鬼・永代施餓鬼とお勤めが続きます。 今年は…
みてごらん 自分の顔を 笑ってごらん 、、、、、 怒ってごらん 、、、、、 すべてこの世は こちらから もうすぐ 七夕です。 ひこ星とおり姫がどうして一年に一度しか会えなくなったのか・・・、それは二人が働かなくなったからだそうです。おり姫は神さまの…
神佛(しんぶつ) 涼風(りょうふう) 月空國孫(がっくうくにみま) 今、世界が揺れています。 G7(ジーセブン)広島サミットが開催され、ゼレンスキー大統領も訪日されました。 コロナ禍はほぼ終息しましたが、ロシアとウクライナの戦争は続いています。 さて、…
大和(やまと)は国の真(ま)秀(ほ)ろば 畳(たた)なづく青垣(あおがき) 山(やま)籠(ごも)れる 大和しうるはし 『古事記』より 風薫る季節。今年も緑いっぱいの山々に爽やかな海風が吹いて、自然の美しさがまぶしい季節となりました。 例年行われている輪番御忌…
山賤(やまかつ)が 白木(しらき)の合(ごう)子(し)そのままに 漆(うるし)つけねば はげ色もなし 西山上人 春になりました。桜のつぼみも膨(ふく)らんで、全国各地、桜の開花宣言が始まりました。 やっとマスクを外して生活できるようになって、明るい兆(きざ)…
梅が咲き 桃が咲き 桜が咲いて 春となる 今、梅の花が満開です。三月三日のひな祭を前に桃の花を活けました。三月末には桜の花も咲くでしょう。 さて、今、阿彌陀寺では古墳(こふん)の調査が行われています。古墳の中の土を少しずつ掘り起こし堆積(たいせき)…
よろこべば よろこびごとが よろこんで よろこびあつめ よろこびにくる 寒さ厳しい二月。梅の開花ももうすぐです。 今年のお講(八百十二回御忌会)も皆さまのお陰で無事に厳修されました。 「人生は甘美(かんび)だねぇ、人生は美しいねぇ・・。」 これはお…
あらたまの佳き一年の 日の出かな 月空 新年おめでとうございます。 昨年は、日々のニュースは、ロシア、ウクライナの戦争とコロナ禍で暮れました。年頭に当たり、今年が明るい一年となりますことを、心より祈念致します。 さて、歳を取ると、気力、体力の低…
身体(からだ)で覚(おぼ)えるしかありません 大工棟梁・中村外二(そとじ) 師走となりました。 令和四年もあと少しとなりました。 先日、和歌山城横の和歌山県立近代美術館に行って参りました。インドのマハラシュトラ州と友好交流している和歌山県が主催の展…
ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな 石川啄木 今年も、間もなく紅葉の季節です。 また、 秋は実りの季節、みかん採(と)りの季節でもあります。美しい季節を、平和に迎えられることに感謝ですが、世界に目を向ければ、胸が痛む…
弥陀(みだ)たのむ 身(み)となりぬればなかなかに 暇(いとま)はありて暇(いとま)なの身や 西山上人 秋の夜長となりました。 『月かげのいたらぬ里はなけれども ながむる人の心にぞすむ』 法然上人のこのお歌の意味を、月を見ながら時々考えます。綺麗なお月さ…
突(つ)き抜(ぬ)けて 天上の紺(こん) 曼殊沙(まんじゅしゃ)華(げ) 山口誓子(せいし) 九月に入り、ようやく秋の気配です。 先日、墓地の水漏れが確認されました。昭和の時代に共同墓地として開発された場所です。今は亡き方々が中心となって共同で造成された区…
月かげの いたらぬ里はなけれども ながむる人の心にぞすむ 法然上人 暑いお盆の季節がやって参りました。 今年の棚経は例年どおり、お参りさせて頂きます。 コロナ禍も二年を超えて、いよいよウイズコロナということで、上手に付き合うしかありません。一年…
真理は一つ 聖者たちはそれを さまざまの名で呼ぶ リグ・ヴェーダ 今年は特別梅雨明けが早くて、暑い夏が長いそうです。日差しが強くて、熱中症注意のニュースばかりが流れています。 先日、三年ぶりにシンガポールから来日されたスワミー・サッティヤ・ロー…
真実の心とは 正直の心なり 西山上人 まもなく梅雨です。 梅雨は、稲(いね)がすくすく育つ季節です。稲だけではありません。梅の実も野菜もすくすく育ちます。災害さえなければ雨の季節もまたよし、です。 さて、西山上人は「至誠(しじょう)心(しん)とは真実…
わし 誕生日に 死ぬさか 予言 五月です 一年はあっという間。誕生と別れの繰り返しです。 「わし、明日(あした)死ぬさか」 これは和歌山弁ですが、標準語では「私は明日、死にますからね」というような意味です。今年の三月に数え九十五歳でお亡くなりになら…
春筍 祖母の里より 賜(たまわ)りぬ 草間時彦 うぐいすの鳴き声が聞こえてきます。 春になったら、山東(さんどう)の筍(たけのこ)の香りが懐かしいです。丁度、二十年前、十五年間お世話になった山東の薬善寺から下津浦阿彌陀寺に引っ越し(入山)しました。随…
日月(にちがつ)をもってわが光明とせば 二六時中(にろくじちゅう)くらきことなし 慈雲尊者 弥生三月となりました。今年の冬は寒く、私の故郷越後(えちご)魚沼(うおぬま)では、ここ十年で一番の大雪となり、積雪が二メートル五十センチを超えたそうです。下津…
冬来りなば 春遠からじ 英国詩人 シェリー まもなく立春です。 今年も春が巡って参ります。もうじき、梅が咲き、桃が咲き、桜が咲いて、やがて新緑の季節となります。 コロナ禍も、いずれ収まるでしょう。春の来ない冬はない。朝の来ない夜はない。雨はやが…
門松(かどまつ)や おもへ(え)ば一夜(いちや) 三十年 松尾芭蕉 新年おめでとうございます。 コロナ禍もほぼ終息(しゅうそく)し、今年が皆々さまにとりまして、佳(よ)き一年となりますことを心よりお念じ申し上げます。 さて、私もこの正月五日で満六十三歳を …
雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ慾ハナク決シテ瞋(いか)ラズイツモシヅカニワラッテヰル・・・ 今年も残すところ後一ヶ月となりました。 年末で喪中ハガキが何枚か届いていますが、最近は家族葬も増えてきて、「ふぎ」…
いちばんたいせつなことは 目に見えない 『星の王子さま』サン・テグジュペリ 紅葉の美しい季節が近づいて参りました。 先日テレビで、「ヒデとロザンナ」で一世(いっせい)風靡(ふうび)した歌手のロザンナさんが「徹子の部屋」に出演されていました。有名な…