月かげ第177号

 念彼観音力(ねんぴかんのんりき)

 

  (観音菩薩のお力を念ずれば観音菩薩のお護りに与(あずか)る)

             『法華経普門品(ほけきょうふもんぼん)』より

 

ひときわ暑かった夏がようやく終わろうとしています。

皆さま、お疲れは出ませんでしたでしょうか。また、台風二十号による被害はありませんでしたでしょうか。

さて、当山におきましては、長年の懸案(けんあん)でありました観音堂の修復工事に、去る八月二十一日より取りかかる運びとなりました。 

観音堂は、約十年ほど前に、境内のお地蔵さま横の槙の木の根をつたってシロアリが入り、お堂としてはかろうじて保っているものの、専門家の皆さんより修復不可能のレッテルを貼られ、約二~三十年何とかこのままの状態で保存し、その後は取り壊すしか方法がないと言われて今日を迎えました。

ところが昨年、不思議なご縁で、紀州文化財の保存修復工事に携(たずさ)わっている平田工務店の平田会長さんと巡り合い、観音堂を見て頂いた結果、「今なら大修理が可能です」と、予想外のお言葉を頂きました。

さて、当山の観音堂は、中央に秘仏聖(しょう)観世音(かんぜおん)菩薩(ぼさつ)、両脇に西国三十三観音霊場御本尊の御分身をお祀(まつ)りしています。その霊験(れいけん)はあらたかで、日々檀信徒の皆さまが参詣されています。特に旧初午には、七(なな)とこ参(まい)りの一つとして多くの信者さんがお参りをされます。そして、毎年旧初午当日一時から、西国三十三観音霊場を中心とした御詠歌を奉納し、祈願(きがん)法要を厳修しています。

檀信徒の皆さまには、当山観音堂大修理並びに宗祖法然上人立教開宗八百五十年をご縁として、二〇二〇年十一月に厳修されます五重相伝をぜひ受けて頂きたいと思います。

信仰心のある土地は栄えます。下津浦は千五百年以上そうやって繁栄して参りました。今は静かな港町ですが、長年にわたって人々が信心のうえに助け合って暮らしてきたふる里です。

今後も観音菩薩の御加護のもと、念仏信仰を心の支えに、安らかに楽しく心豊かに暮らして参りましょう。

南無阿弥陀仏  合掌