月かげ第215号

いちばんたいせつなことは

目に見えない

           『星の王子さまサン・テグジュペリ

 

 

紅葉の美しい季節が近づいて参りました。

先日テレビで、「ヒデとロザンナ」で一世(いっせい)風靡(ふうび)した歌手のロザンナさんが「徹子の部屋」に出演されていました。有名な歌手なのでご存じの方も多いと思いますが、ご主人のヒデさんは四十七歳の若さでお亡くなりになりました。 とても素敵な歌声で、ハンサムで、女性にも大人気でした。ロザンナさんは彼が亡くなった後、一周忌に朝八時にひまわりを沢山持ってお墓参りに行ったら、すでに誰かが、ひまわりをいっぱい供(そな)えていて、「死んでからでも嫉妬(しっと)したのよ。」と、おっしゃっておられました。

彼は亡くなる少し前に、「大人になりなさいよ。これからは一人で子供を育てないといけないから・・・」そう言い残したそうです。

小さい子供さん三人を育てあげて、今はお孫さんが沢山いて、彼女は楽しく都内で一人暮らしをしているそうです。彼女が「大人になれたかな~」というと、徹子さんが「大人になった、なった。」そう言って涙をにじませて笑いあっていました。

彼女は母も亡くなり、イタリアで父親が一人暮らしをしていたので、イタリアに子供を連れて帰ろうかとも思ったそうですが、父は「子供たちはせっかく、日本に根(ね)を張り始めたのに、抜(ぬ)いたら可哀そうだ。」と言ったのでやめたそうです。

日本で子育てして、日本の国籍も取得して、日本を選んで本当によかったとおっしゃっていました。異国で一人子育てすることは本当に大変だっただろうなと思います。

「せっかく根付いた木を抜かないように・・・」あの世からヒデさんが護(まも)っているんだなぁ・・と思いました。

南無阿弥陀仏    合掌  ⓢ