月かげ第228号

身体(からだ)で覚(おぼ)えるしかありません

 

 

    大工棟梁・中村外二(そとじ)

 

師走となりました。

令和四年もあと少しとなりました。

先日、和歌山城横の和歌山県立近代美術館に行って参りました。インドのマハラシュトラ州と友好交流している和歌山県が主催の展覧会です。今年は日印国交樹立七〇周年でもあり、インドの美術が紹介されています。

新潟県十日町市にある、ミティーラ美術館という所から、多くのコレクションも展示されています。実は、三十年程前に新潟へ行った際、義父に連れて行ってもらったことがあります。

新潟の家からは車で一時間ほどのところで、山の中にある廃校(はいこう)になった校舎が美術館になっていました。留守番のおばさんが一人いて、案内して下さいました。今思えば、あれが義父と一緒に行った一度きりのミニ旅行だったなぁと懐かしく思います。

ティーラ画はインドのミティーラ地方に伝わる壁や地面に描く絵で、鍋やランプに付着したすすや、花のサフランの花弁や花粉なんかを赤や黄に使い、白はお米を使っているそうです。竹や木の棒を細く削ってペンのように使うそうです。結婚式を祝う時にお家の壁に描いたりします。

ビハール州の片田舎の村に住むガンガー・デーヴィーさんと言う女性が二年間の歳月をかけて制作した「人の一生」という絵は圧巻(あっかん)です。僅(わず)か一週間程度で描かれた「スーリヤムッキーの木」(平安と希望という名の木)はそこに本物の木があるような感じをうけます。他にもインドのマハーラーシュトラ州の先住民が描くワルリー画や焼き物のテラコッタなど、凄い作品がいっぱい展示されています。

三十年前に見たガンガ・デーヴィーさんの絵をこうして、もう一度和歌山で拝見できたことは本当に嬉しいことでした。彼女はガンになってもインドのバクティ(信愛)ともいうべき神への一途な信仰が根にありました。私たちの阿弥陀仏信仰と共通する信仰心です。

展覧会は十二月二十五日まで開催されています。是非、足を運んで頂きたい思いです。

☆ 入場料一般は三百五十円です。

 


南無阿弥陀仏      合掌