浄土門 ここにはじまる 照(てる)紅葉(もみじ)
鈴(すず)鹿野(かの)風呂(ぶろ)
今年も紅葉の季節を迎えました。
ご本山のもみじも少しずつ色づいて参りました。去る十月二十六日、ご本山では第七七〇回の西山忌が厳修されました。私は初めて称讃(しょうさん)導師(どうし)を勤めさせて頂きました。
さて、西山上人のみ教えは、安心(あんじん)の上(うえ)の起(き)行(ぎょう)に極まります。
安心(あんじん)とは、阿弥陀仏に救済され切った心持ちをいいます。つまり、宗教的安心(あんしん)です。
起(き)行(ぎょう)とは、起(た)ち行(はたら)くという意味です。一つには自ら念仏を唱えること。二つには、ひとに念仏を伝えること。三つには、安心(あんじん)を得(え)て自らの使命に生きるということです。
西山の念仏は歓喜(かんぎ)の念仏、また感謝の念仏といわれます。
西山上人御詠(ぎょえい)
生きて身をはちすの上に宿さずば
念仏申す甲斐(かい)やなからん
この世には苦しいことや悲しいことや辛(つら)いことが多くあります。しかし、夜明けの来ない夜はない、春の来ない冬はない、といわれるように、必ず未来は開かれてゆきます。
苦しいときも、悲しいときも、よろこびのときも、阿弥陀さまが必ず寄り添って見(み)護(まも)ってくださることを忘れずに歩んで参りましょう。
南無阿弥陀仏 合掌