月かげ第245号

年年におもひやれども

山水を汲みて遊ばむ

夏なかりけり

                 明治天皇御製

 

 

新緑の候、こいのぼりの季節です。

今月十九日は下津町梅田の子安山(しあんざん)地蔵寺(じぞうじ)で立教開宗八百五十年記念輪番御忌が開催されます。下津町内十三ケ寺の組寺が順番に行う法然上人のご法事です。コロナ禍には、なかなか集まれなかったので、一時的に中止していたのですが、去年から規模を縮小して再開となりました。

それに伴い、今年に入ってから本堂の修復工事をしました。一度、白アリが付きましたので、白アリ駆除はして頂いたのですが、あっちこっち傷んでいたので、これを機会に畳も一部替えて、腐っていた台も直しました。そして、古くからあった佛さまも御開帳しました。もともと地蔵寺は神野志方丈さまの生誕の地で、お父さまの義隆上人は僧侶であり、村長でもあり、老人ホーム(かぐのみ苑)も建てられました。晩年、本堂も新築されました。私たちが下津町に引っ越して来た頃には義隆上人は亡くなられていましたが、奥さまが一人で住まわれていました。

昔、梅田には、大きなお寺があり、塔頭(たっちゅう)寺院が周りに沢山あったと聞いています。その一つが国宝の善福院さまです。今となっては善福院さまと地蔵寺だけが残ったわけですが、長い歴史を思う時、自然豊かな地の下津町梅田は一大信仰都市のようなところだったんじゃないかと思います。昔の写真も、ビデオも残されていないので計り知ることは出来ませんが、子供が疫病で大勢亡くなった時に作られたお地蔵さまは、古いもので、背丈は一メートル二〇センチほどです。多くの方々の心の支えとして、末永く信仰は護り続けられます。                ⓢ

    南無阿弥陀仏     合掌