月かげ第176号

 万機普(ばんきふ)益(やく)

 

 

   (本願念仏は)あらゆる人々を必ず救います

 

お盆の季節となりました。

先日来、西日本で甚大(じんだい)な被害をもたらした豪雨(ごうう)は『平成三十年七月豪雨』と命名されたそうです。梅雨が明けて海に山に楽しいい夏休みのはずが、道路は寸断され、家は壊れて、被災地では大変な状況となっています。日本各地から多くのボランティアの方々がかけつけ、活動されているようすが報道されています。頭の下がる思いです。

阿弥陀寺では例年、一年で一番暑い時期、八月九日に施餓鬼会(せがきえ)を厳(ごん)修(しゅう)します。

お釈迦さまのお弟子の目(もく)連(れん)尊者(そんじゃ)というすぐれたお坊さんが自身のお母さんが亡くなられたあと、母はあの世のどんなよいところに生 まれ変わったのかと神通力(じんずうりき)で眺めましたら、なんと、餓鬼(がき)道(どう)に堕(お)ちているではありませんか。餓鬼道とは常に飢(う)えと渇(かわ)きに苦しむ、それは恐ろしいところです。

目連尊者が、なんとか母を救いたい一心で、

お釈迦さまにご相談した故事に基づくご供養が施餓鬼会です。

 例年、阿弥陀寺では、組寺のお坊さんに来て頂いて、施餓鬼供養のお経を唱えて頂きます。初盆施餓鬼の後、永代(えいたい)祠堂(しどう)の方々を順次供養します。

神通力のない我々にとっては、熱い夏のさなか、こんなことをして意味があるのかと疑いたくもなるような話ですが、日本では昔から伝統的なお盆の供養として宗派を超えて各お寺で営まれています。どんなに時代が変わっても、そこには目に見えない魂(たましい)の救い、ご利益があります。京都の五山の送り火や、東北のねぶた祭、等、いずれもお盆に霊を供養するための行事です。

皆さま、どうぞ、当山の施餓鬼会にお参り下さい。そして、日頃の疲れを浄化して、心も新たにお盆をお迎え頂けたらと思います。

   南無阿弥陀仏  合掌