月かげ第189号

ただ一向に念仏すべし

        

 

           法然上人

 

私の得度の師、総本山光明寺第七十七世法主・須佐長空上人は、八十八歳の折、「観経に聞く会」というお経の勉強会の席で、「われわれは皆お浄土から生まれてきた。故郷恋しく、生まれたふるさとへ帰りたい」とおっしゃられました。

当時まだ二十代だった私は、このおことばの意味が理解されたとき、私もまた救われるのだろうと、そのように思いました。

お浄土には、先に往(い)った懐かしい人たちが、待ってくださっている。私もまた素直にお念仏を称えてやがてお浄土に往生し、懐かしい方々と再会のよろこびを味わう・・・。

今では、当たり前にそう思っています。科学で説明はつきません。しかし、お釈迦さまがお浄土の存在や、念仏往生を「信じなさい」とお説きになり、法然上人が「間違いない」とおっしゃられました。「私はただ法然上人のおことばを信じます」ただ、それだけです。「五重相伝」をお受けになることによって、そのような心持ちに少しずつ変わってゆくと思います。

生死を超えて、お浄土という永遠の世界の住人とならせて頂く・・・。そして、損得勘定を超えた、魂の世界に生まれ変わらせて頂く・・・。「五重相伝」によって価値観の転換(てんかん)が起こり、真実の世界の住人とならせて頂くのです。

ご縁を結ばれることを、心より念願致します。

南無阿弥陀仏  合掌