月かげ第210号

感応道交(かんのうどうこう)

 衆生が仏を感じようとすれば仏は すぐにそれに応じ、衆生と仏の心が通じて、通     い合うこと)

 

 

 新緑の美しい季節となりました。

梅雨時期の晴れ間は貴重な洗濯日和(びより)です。そしてお墓参りの人たちでにぎわいます。

高校時代の話ですが、あるホームルームの時間に先生がおっしゃいました。

いじめ問題の解決のために、「人に言えない辛(つら)いことや、言いたいけど言えないような心の苦しみがある人は、思いきって言いましょう。それが本当の友だちになることだから」と。

ふだん仲良くしている女の子が、手を高く上げ、立ち上がって「私は田舎(いなか)育(そだ)ちですが、田舎者あつかいされることがとてもいやです。自分の故郷(ふるさと)を馬鹿(ばか)にされて、信号がないとか、バスが少ないとか、そんな風に笑われるのは悲しいです」、そう言いました。 

とても物静かな子で、いつもニコニコしていて、性格も優しくて、何の悩みもないような振る舞いをしていた子だったので、とても印象深(いんしょうぶか)く覚えています。そして、本当にその子の田舎を馬鹿にする発言をしょっちゅうしている子がいました。その子が勇気を持って、発言したことで、それ以来、みんながそのようなことを言うことはなくなりました。

「本当はそんなこと言わないで欲しい・・・」そんな気持ちは、はっきり相手にわかるように言うことが一番いい。相手はびっくりするかもしれないけど、それが一番、相手も罪(つみ)を重ねない。いじめ問題はどこにもありますが、必ずそれを助けることが出来る解決(かいけつ)策(さく)もあるはずです。

勇気ある行動、言動をすることで、正直者は言い過ぎて嫌われることもあるけれど、神仏は見ている、人を助けることの出来る人は、はっきり、正しいことを言える人だと今も思っています。

 

 南無阿弥陀仏   合掌    ⓢ