光台に見しは見しかは見ざりしを
聞きてぞ見つる白河の関
西山證空上人
早いもので師走となりました。
十二月十一日は、随暢師匠三回忌正当命日です。
師匠が蒔かれた念仏の種は、各地で確実に育っていると思います。中でも師匠の功績は、多くの弟子を育てたこと、カナダ東漸寺を建立したこと、そして、約二百回に及ぶ五重相伝・授戒の勧誡(説戒)師を勤めたことです。そのご縁に与った方々から今も御礼を言われることが度々あります。
正直、師匠を超えるお説教はあまり聞いたことがありません。お念仏を伝えるには、自らが正しい信仰を持たなければ、ひとに伝えることは出来ません。
お念仏を唱えれば幸福になる、これは事実です。更に、阿弥陀仏のご本願の因縁を知れば、そのかたじけなさに自ずと頭が下がります。
法然上人が理想とされた人物像は、讃岐の庄松のような妙好人でした。私は師匠の中に、讃岐の庄松に通ずる念仏信仰と人間性を感じます。特に、ひとを分け隔てしない感性は、到底及ぶものではありません。
師匠は三回忌を迎えましたが、私の周りでは今も毎日、師匠の話題を聞かない日はありません。それだけ存在感の大きい方であったと思います。
さわやかな春風のような印象を残して、お浄土へと帰られた師匠は、今も皆をお浄土から見護ってくれているように思われます。
南無阿弥陀仏 合掌