月かげ217号

 門松(かどまつ)や

 おもへ(え)ば一夜(いちや)

 三十年

                     松尾芭蕉

 

 

新年おめでとうございます。

コロナ禍もほぼ終息(しゅうそく)し、今年が皆々さまにとりまして、佳(よ)き一年となりますことを心よりお念じ申し上げます。

 さて、私もこの正月五日で満六十三歳を

迎えます。昨年の自分と現在の自分との変化は、私自身が神仏(しんぶつ)習合(しゅうごう)の世界に生きるようになったことです。

 神仏(しんぶつ)習合(しゅうごう)に生きるというと、少し分かりにくいかもしれませんが、本山の加行(けぎょう)における本願(ほんがん)念仏(ねんぶつ)相承(そうじょう)の奥義(おうぎ)は、西山上人が鶴岡(つるがおか)八幡(はちまん)神(しん)より伝授されました面相(めんそう)の十(じゅう)念(ねん)(『五重相伝』の第五重)ですし、西山上人の孫弟子にあたる時宗の開祖一遍(いっぺん)上人(しょうにん)は、熊野本宮大社におきまして、熊野(くまの)大権現(だいごんげん)の御神託(ごしんたく)を受け、『南無阿弥陀仏決定(けつじょう)往生(おうじょう)六十万人』の結縁(けちえん)札(ふだ)を配布されるようになられました。

 新年を迎え、あらためて、ここ下津浦が、古来よりの神仏習合の信仰の聖地であることに思いを致し、神さま方、み仏(ほとけ)さま方の御加護のもと、安らかに楽しい一年を過ごして参りたいと思います。

ありがとうございます。

                          南無阿弥陀仏   合掌