月かげ第213号

わたしたち一人ひとりが、
自分の玄関の前を
掃除するだけで、
全世界は綺麗になるでしょう

         マザー・テレサ

 

 鈴虫(すずむし)が鳴き始めました。
もうすぐお彼岸です。
私がこの歳になって、一番感じさせられることは、掃除の大切さです。
明治生まれの祖母二人がとても掃除がゆきとどき、綺麗好きで、二人とも九十七歳まで長生きしたので、なんとなく掃除の大切さは身近に感じていました。大きなお寺の掃除を任(まか)されて、手が回らず、ずっと苦しんでいました。今もそうとも言えますが・・・笑。
実は、断捨離(だんしゃり)という言葉も好きじゃなくて、なんか、思い出品(ひん)やご先祖さまの残して下さった物を捨てることは、心まで捨てるようで、ついつい捨てられなくて、押し入れに押し込んでいたんです。何が入っているかもわからなくなり、その内カビが生えてしまう、それをまた片付ける・・時間がどんどん取られる・・・ということもありました。古い家は埃(ほこり)も多いので、掃除ばかりで、一生掃除に追いかけられる思いでした。
でも、明治生まれの祖母二人が、どうしてあんなに、綺麗に暮らしていたのか、その結論は簡単でした。つまりミニマリストだったのです。みなべの祖母も大阪の祖母も、寝室には鏡台(きょうだい)だけでした。夜、お布団一枚敷いて寝た後は、朝、綺麗に押し入れにしまい、鏡台ひとつ置いているだけで、何もない。畳も拭(ふ)いていたと思います。自分の身の周りに余計な物がないのです。
なんで、こんなに掃除が大切かといいますと、周りの亡くなった方々をみていますと、掃除をして、綺麗に暮らしていた人が寿命が長く、コロッと、亡くなったり、年をとっても全然病気もしていないことに、気がついたのです。本当に大切な物だけを残し、いらない物を減らして、シンプルに暮らすことは、すごく便利で、本当に楽です。
性格の良し悪しは別です。優しい人が病気して、苦しんでいるのを見ると、できれば、やってみて欲しいと思います。私もまだまだですが、掃除しやすいように、物を減らして、綺麗に暮らすことは、招(しょう)福(ふく)です。まずは玄関から物を減らす、それが幸せへの第一歩だと思います。
           南無阿弥陀仏    合掌  ⓢ

ミニマリストとは、持ち物を出来るだけ減らし、必要最小限の物だけで暮らす人。