月かげ第214号

神は示し申す

佛は人にあらず

 

 

 

すっかりよい時候となりました。

しばらく快適な日々が続きます。

私自身、ここ二年ほどで、急激に老いを感じておりますが、老いは必ずしも、悪いことばかりではありません。神仏への思慕(しぼ)の念が深くなってきたからです。

人間として自然な、健康長寿や家内安全などの素朴な願いを祈願(きがん)することはあっても、基本的に神仏へのお参りは、報恩(ほうおん)感謝(かんしゃ)のまことを捧げ、救済されていることの喜びのお礼の思いを捧げております。

神という字を分解しますと、神は示(しめ)し申すとなります。神さまは常に私の進むべき道をお示し下さいます。心を清め、思いを静かに穏やかにして参りますと、神さまの声が胸の奥に響いて参ります。そして、示し申されるのです。

また、佛(ほとけ)という字を分解しますと、佛は人にあらずとなります。人は二元論の世界に生きています。常に二つに分けて、損(そん)か得(とく)か、好きか嫌いか、という世界です。佛の世界は二元論を超えた一元論の世界です。真実そのもの、真実一つの世界、正直ひとつの世界です。

歳をとるということは、お浄土が近くなるということです。お浄土に帰り、阿弥陀さまやご先祖さまと、再会したとき、胸を張ってご挨拶できますように、神さまのお言葉に耳を傾け、佛さまの真実ひとつの世界に生きて参りたいと思います。

                   南無阿弥陀仏   合掌