月かげ第186号

いちばんたいせつなことは

目に見えない

                星の王子さま

                 サン・テグジュペリ

 

 

 紫陽花(あじさい)の綺麗な季節となりました。

先日、高野山にお参りしました。お店の前にコンペイトウという紫陽花が鉢に植えられていました。毎年、庭中紫陽花を咲かせているお寺の奥様に携帯で写した写真を送って、名前を聞きました。丁度私が訪ねた時に私の父のことを思い出していたそうで、偶然だと喜んで下さいました。

お寺に住んでいて、法事やお葬式、そして色々な法要に参加させて頂きますと、時々檀家さんに不思議なお話を聞きます。偶然かもしれませんが、目に見えない世界から、知らされたような気になります。

亡くなった人を思い出して、一周忌、三回忌、七回忌・・・・。とつとめる内に、皆、年をとって、子供も大人になり、自分もいい年になって、あの頃の母の歳になったなぁ、と思います。

令和になって、時代が変わり、インターネットや自動運転、自動改札と、どんどん便利になりますが、便利なようで、機械に振り回されているような気もします。本当に大切なものを見失わないようにしないといけないなぁ、と思います。

お寺を大切に思ってくれる檀家さんや、野菜を作って持って来てくれる方や。毎朝、道路を掃除してくれる方や、庭掃除を手伝ってくれる人、孫を大事に育てているおばあさんやおじいさんの心・・・。 

心は目に見えないけれど、家族や親族の集まる法事は、心が目に見える法要じゃないかと思います。多分、気づかない人も多いけれど、三十三回忌や五十回忌になった頃には、心がつながって、その頃の祖父母の気持ちがやっとわかります。

お寺という特殊な場所がそんな風に日本人の優しい心を育ててくれているような気がします。          (文・さよ)

南無阿弥陀仏    合掌