月かげ第218号

冬来りなば

春遠からじ

 

          英国詩人 シェリ

 

まもなく立春です。

今年も春が巡って参ります。もうじき、梅が咲き、桃が咲き、桜が咲いて、やがて新緑の季節となります。

コロナ禍も、いずれ収まるでしょう。春の来ない冬はない。朝の来ない夜はない。雨はやがて止み、日照りも必ず雨となる。

ただ穏やかに春を待ちましょう。神仏に感謝致しましょう。

私の師匠の橋本随(ずい)暢(ちょう)は、そのお説教の中でたびたび、「底ぬけに人を信ずる人間となろう」と、ご聴聞の皆さま方に語りかけていました。私は、初めてこのお話を聞いた時、正直、「危ない危ない騙(だま)される」と思いました。実際、随暢師匠は、結構騙されていたと思いますが、たとえ騙(だま)されても、騙されたことにさえ気づかず、損(そん)をしたとも思わず、一生をそれで貫(つらぬ)き、カナダのバンクーバー近郊に、東漸(とうぜん)寺(じ)というお寺まで建ててしまいましたから、やはり偉人であったと思います。

私は、足元にも及びませんが、今、縁あって、京都(きょうと)西山(せいざん)学園の理事長職を務めさせて頂いております。学(がく)の法流(ほうりゅう)を護(まも)ることを使命として、「素直に正直に」という松本明慶(みょうけい)大佛師のお言葉を胸に務めさせて頂いております。私の仲間たちは、心清らかで心の温かい方々ばかりです。友人たちに恵まれたことをよろこび、神仏に感謝しつつ、今しばらく励んで参りたいと思います。

梅、桃、桜、春の花々はまもなく咲くでしょう。やがて、コロナ禍も終息することでしょう。

      南無阿弥陀仏   合掌