月かげ第238号

名月や

池をめぐりて

夜もすがら

         松尾芭蕉

 

 

お彼岸が終わり少しずつ涼しくなって参りました。

さて、十月は神無月(かんなづき)といわれます。(本来は旧暦なので十一月頃です)日本全国の神々が島根県出雲大社に集まって各地の神々が不在となるという説や、神聖な五穀(ごこく)を収穫し神々に捧げて感謝する月、「神の月(かむなづき)」などの説があるようです。いずれにせよ、十月から十一月にかけては、収穫の季節であり、収穫した五穀を神仏に捧げて感謝する月、感謝の心を神仏に捧げる月です。

人間の持つ感情で最も尊い感情は感謝の心だといわれます。西山のみ教えでは、西山のお念仏は、感謝の念仏、よろこびの念仏といわれますが、感謝の念仏は、よろこびの念仏の一段上に位置するお念仏であります。

自分の心から感謝の念が消えたとき、それは神仏の世界から遠ざかっている証拠だと思います。

日々感謝しながら生きてゆけることは幸福です。

昔、住職をしていたお寺の当時の総代さんの奥さまが、とても信仰心の篤(あつ)い方でしたが、いつもお供え物ののし紙に「感謝」と書いておられました。私も長い時間を経て、ようやくその心境が理解できるようになりました。

神無月・・・・。

あらためて神仏の御加護に感謝致しましょう。

 

           南無阿弥陀仏      合掌