月かげ第232号

山賤(やまかつ)が

白木(しらき)の合(ごう)子(し)そのままに

漆(うるし)つけねば

はげ色もなし

 

     西山上人

春になりました。桜のつぼみも膨(ふく)らんで、全国各地、桜の開花宣言が始まりました。

やっとマスクを外して生活できるようになって、明るい兆(きざ)しです。

先日ご法事で来られたご家族の方々は、ご法事の後、皆で白浜温泉に行くことにしたとおっしゃっていました。ご法事の後は近くの料亭でお食事をするのが恒例(こうれい)ですが、久しぶりに東京や大阪から親族が集まって、ワイワイ出来るので、白浜に泊まりに行こうと、孫の一人がおばあちゃんに提案されたそうです。 

コロナ禍では考えられなかったことです。約三年間、みんな辛抱(しんぼう)したからなぁ・・・、

待ちに待った嬉しい再会となりました。極楽に行ったおじいちゃんも喜んでおられることでしょう。

この二~三年、お葬式も法事も簡略化が進んで、県内の方だけとか、少人数でとか、大変でした。最近はコロナ禍の影響もあって、一日でお通夜とお葬式と初七日までというプログラムもあります。だけど阿彌陀寺では、お通夜とお葬式を一緒にすることは出来ないとお断りしています。出来る限り、二日に分けてし ます。

仏教の教えにある六道は、地獄から始まって、餓鬼(がき)道(どう)、畜生(ちくしょう)道(どう)、修羅(しゅら)道(どう)、人間(にんげん)、天界(てんかい)、と分かれます。今、私たちは人間界に住んでいるわけですが、亡くなって、何処に行くかは、その人の日頃の行いで決まるといわれています。何千年もの間、大勢の方々が信じてこられたお釈迦さまの教えは普遍(ふへん)です。

ご家族がご法事に集まって、ニコニコおじいちゃんおばあちゃんのお話など懐かしみながらしているのを見ると、信仰のある家は、心が豊かで、皆、優しくて、幸せだなぁ・・・と感じます。

現世(げんせ)極楽(ごくらく)、「法事の後の温泉旅行もいいなぁ・・・。流行(はや)りそうだわ。」   ⓢ

     南無阿弥陀仏      合掌