月かげ第185号

令和(れいわ)元年(がんねん) 令(れい)月(げつ)にして 風(かぜ)和(やわ)らぐ (よき月が出て 風は和らかに 渡ってゆく) 令和元年となりました。 よい響きの美しい名の元号だと思います。元号の如く、穏やかな日々が続くことを願います。 さて、去る四月二十…

月かげ第184号

遷座(せんざ)祭(さい) 春光(しゅんこう)射(さ)して 鎮(しず)まりぬ 月空 いよいよ新元号元年を迎えます。 去る三月二十四日午後三時より、総本山光明寺において、新しくなった鎮守社の遷座祭が厳修(ごんしゅう)されました。 光明寺の鎮守社は、往古(おうこ)…

月かげ第183号

菜の花や 月は東に日は西に 与謝蕪村 春のお彼岸が近づいて参りました。 先日、有田市民会館で映画を見ました。和歌山を元気にする活動をしている人たちが主催するイベントで、友だちが司会をしていました。映画は「ガイアシンフォニー第八番」でした。映画…

月かげ第182号

蒙(む)潤(にん) (潤(うるお)いを蒙(こうむ)る) 早二月です。 水仙の花が咲いています。間もなく梅も開花するでしょう。 寒い季節に咲く花は、ひときわ可憐に感じます。われわれ人間もまた、冬は自然と身が引き締まるように感じられます。 さて、仏教に蒙(…

月かげ第181号

初詣(はつもうで) 小さき宮の 神仏(かみほとけ) 長谷川かな女 新年おめでとうございます。 年頭にあたり今年が皆さま方にとりまして、穏やかな一年でありますことを心より念じ上げます。 さて当山では、年明けより昨年の台風の影響で着工の遅れていた観音堂…

月かげ第180号

光っている光っている 明けの明星が光っている 私が光っている 釈尊お悟りのおことば 今年も早いもので師走となりました。 今年は六月の大阪北部地震、九月の台風二十一号と災害の続いた一年でした。しかし、それでも無事に師走を迎えることが出来ましたこと…

月かげ第179号

阿弥陀仏が慈悲をもって 私に入って下さっている ことに気がつくことが 大事なことです 総本山光明寺第八十六世 堀本賢順法主 地震や台風など災害の多かった今年でしたが、ようやく紅葉の季節を迎えました。各所の甚大な被害のため、屋根屋さん、大工さん、…

月かげ第178号

鳥は 飛ばねばならぬ 人は 生きねばならぬ 坂村真(しん)民(みん) 今年は、六月の大阪北部地震に始まり、台風二十一号、二十四号と災害の多い一年でした。しかし、それでもかろうじて最小限とも思える被害で十月を迎えることができましたのは、お念仏の功徳の…

月かげ第177号

念彼観音力(ねんぴかんのんりき) (観音菩薩のお力を念ずれば観音菩薩のお護りに与(あずか)る) 『法華経普門品(ほけきょうふもんぼん)』より ひときわ暑かった夏がようやく終わろうとしています。 皆さま、お疲れは出ませんでしたでしょうか。また、台風二…

月かげ第176号

万機普(ばんきふ)益(やく) (本願念仏は)あらゆる人々を必ず救います お盆の季節となりました。 先日来、西日本で甚大(じんだい)な被害をもたらした豪雨(ごうう)は『平成三十年七月豪雨』と命名されたそうです。梅雨が明けて海に山に楽しいい夏休みのはずが…

月かげ第175号

感謝の光に包まれて 月空 「なながつ」となりました。「しちがつ」と言うと「いちがつ」と聞き間違えるから最近は「なながつ」と言う若者が多いそうです。 先日、仏教講演会でも発表致しましたが、阿弥陀寺の境内に新発見がありました。 本堂と裏の塀の間に…

月かげ第174号

生きて身を 蓮(はちす)のうえに宿さずば 念仏申す甲斐(かい)やなからん 西山上人 梅雨間近(まぢか)の緑が生き生き元気なこの季節は、雨に感謝して雨(あま)ガエルのように緑にそまりたい気分です。 前回の「月かげ」を私が書きましたら、何人かの方にご感想を…

月かげ第173号

子供ら仲よく遊んでいる墓の中 種田山頭火 鯉のぼりが眩しい季節です。 「新潟の母方の三十三回忌に、いとこが集まるから、せんなんこと、いっぱいあるけど、無理して行って来る、『月かげ』はお前が書いといて」そう言いながら、今さっき随峰さんが出発しま…

月かげ第172号

「森羅万象、皆是れ無量寿仏なり」 西山上人 桜が満開です。 年に一度の美しい風景。遠くの山に、道沿いに、そして、お寺に、満開の桜が咲いています。 西山上人は、「森羅万象、皆是れ無量寿仏なり」と言われたと伝承されています。 簡単に言えば、一切は阿…

月かげ第171号

夏になると 冬がよいといい 冬になると 夏がよいという 狭い家に住めば 広い家に住む人が 羨ましいといい 広い家に住めば こじんまりした狭い家がよいという 独身の頃には 早く結婚したいといい 結婚すると矢張り独身時代が気楽だっ たという それじゃどこに…

月かげ第170号

見知らぬ人でもいい 雨にぬれていたら 走って行って傘に入れておやり 小さなことでいいのです あなたの胸のともしびを 相手の人にうつしておやり (坂村真民) 寒い日が続きます。 去る一月十四日の日曜日、当山五重相伝厳修の看板を本堂前に設置致しました…

月かげ第169号

およそ聖(しょう)道門(どうもん)は、智慧(ちえ)を極めて 生死(しょうじ)を離れ、浄土門は愚痴(ぐち)に還(かえ)りて極楽に生(しょう)ず 法然上人 新年おめでとうございます。 本年が皆々さまにとりまして、素晴らしき一年となりますよう、心よりお念じ申し上…

月かげ第168号

煩悩にまどい迷える命なれど 久遠(くおん)の聲(こえ)にみちびかれつつゆく 菅田祐凖師 師走となりました。 いよいよ来年は平成三十年です。年末になると毎年、慌(あわ)ただしく大掃除に明け暮れますが、あちらもこちらもと思っている間に年が明けてしまいま…

月かげ167号

山賤(やまがつ)が白木(しらき)の合(ごう)子(し)そのままに 漆(うるし)つけねばはげ色(いろ)もなし 西山上人 紅葉の季節となりました。 さて、去る十月二十二日の夜から二十三日の朝方にかけて、台風二十一号が来襲しました。 二十二日、梶取総持寺では、毎年…

月かげ第166号

仏心とは 大慈悲これなり 「仏説観無量寿経」 すっかり秋ですね。過ごしやすい季節となりました。 さて、去る九月三十日、京都西山高等学校通信単位制課程の後期卒業式が行われ、十四名の生徒が卒業し、理事長として祝辞を述べさせて頂きました。 京都西山高…

月かげ第165号

浄土門は愚痴(ぐち)に還(かえ)りて 極楽に生ず 法然上人 九月になりました。 夏の終わりは寂しく感じます。盛んであったものが、色褪(いろあ)せてゆくからでしょうか。 さて、私たちは、氾濫(はんらん)する情報に麻痺(まひ)してしまっていますが、世界を駆け…

月かげ第164号

一所懸命の人に 仏さんが観える 大佛師 松本明慶先生 お盆の季節となりました。 本山では、七月末に、中学生研修会と暁天講座が開催されます。 七月二十八日早朝の暁天講座で講師をつとめられた大佛師・松本明慶先生からは、「心の目を開け」、と教えて頂き…

月かげ第163号

たなばたや 秋をさだむる 夜のはじめ 松尾芭蕉 七夕の季節となりました。 七夕は、年に一度、夜空で出合う織姫と彦星に、短冊に願いを託(たく)して笹(ささ)に吊るす、日本古来の伝統行事です。 小学校の低学年の頃、クラス全員で短冊に願いを書いて吊るした…

月かげ162号

形見とて何か残さむ春は花 山ほととぎす秋はもみぢ葉 良寛和尚 梅雨が近づいて参りました。 さて、去る五月二十日の土曜日、総本山光明寺東京別院の第二十四回念仏のつどいに参加させて頂きました。その時の講演で松本明慶大佛師より伺ったお話の中で、印象…

月かげ161号

和を以て貴しとなす (聖徳太子十七条憲法より) 新緑の美しい季節となりました。 本山に隣接して京都西山短期大学があります。毎年、百名程度の新入生が入学しますが、半分は中国からの留学生です。私は役職上、京都西山学園の理事長となっていますので、入…

月かげ第160号

願わくは 花の下にて春死なん そのきさらぎの 望月(もちづき)のころ 西行(さいぎょう)法師 四月になりました。 桜を始め、野山に花が咲いています。花は、ただそこに咲いているだけで人の心を慰(なぐさ)めてくれます。 さて、私が俳句を作るようになって丸二…

月かげ第159号

阿弥陀仏、われを摂取したもうと 信ずるひとを念仏衆生という。 (範空上人) 春が近づいて参りました。 梅が咲き、水仙が咲き、木蓮の蕾がふくらんでいます。 私は今、本山で念仏の日暮らしを過ごしています。具体的に言いますと、堀本御法主(ごほっしゅ)と…

月かげ第157号

正月の子供に成(なり)て見(み)たき哉(かな) 小林一茶 明けましておめでとうございます。 年頭にあたり、本年の皆みなさまのご健勝をお念じ申し上げます。 さて、年齢を重ねるごとに、新年を迎える心持ちも少しずつ変わって参りました。子供の頃は、厳かな気…

月かげ第156号

「阿弥陀仏、此(ここ)を去ること遠からず」 『仏説観無量寿経』 今年も師走となりました。 一年は本当に早いものです。そして、私自身にとりましては、今年は多くの方々との終(つい)の別れがありました。 「あっという間の人生、ちゃっとのうや」と随暢師匠…

月かげ第155号

浄土門 ここにはじまる 照(てる)紅葉(もみじ) 鈴(すず)鹿野(かの)風呂(ぶろ) 今年も紅葉の季節を迎えました。 ご本山のもみじも少しずつ色づいて参りました。去る十月二十六日、ご本山では第七七〇回の西山忌が厳修されました。私は初めて称讃(しょうさん)導…